アーリング・ノルビーが行った基調講演

科学上のブレークスルーに関するグローバルシンポジウムは2015年5月26日に東京で開催されました。世界の著名な学術団体や政策決定機関の代表者が、今後の科学研究のあり方について意見を交換することを目的としています。午後のパネルディスカッションに先立って、午前中はアーリング・ノルビーをはじめとする4人の基調講演が行なわれました。

アーリング・ノルビーはスウェーデン王立科学アカデミー名誉教授で、同アカデミー終身顧問でもあります。ウイルス学者として知られるノルビーは、スウェーデン王立科学アカデミー名誉教授としてノーベル賞の選考にも深く関わっており、その実態について解説した著書もあります。

アーリング・ノルビーの講演のタイトルは「成功より学ぶ」、サブタイトルは「科学におけるひらめきの時」です。副題のとおり、パラダイムシフトを起こすほど重要な科学上の発見や発明には、研究者のひらめきが重要な役割を果たしていることを、講演の主要なテーマとしています。進化論や相対性理論をはじめ、従来の常識を完全に転換させる研究には、独創的なひらめきが欠かせません。

ひらめきは偶然に生まれるわけではありません。ノルビーはひらめきが生まれる条件として、適切な課題を選択すること、独善的で大胆な研究を行なうこと、自然から学ぶこと、先端技術を理解すること、執念を持って研究すること、研究仲間と弁証法的な議論を行なうこと、等を挙げています。またセレンディピティの価値を認めることも重要です。X線やペニシリンのように、失敗から生まれる大発見も少なくありません。科学の進歩には失敗を味方につける幸運も必要となります。

科学研究の世界では、投資に見合った配当を期待できるとは限りません。過去の叡智をすべて結集してはじめて、科学は前進することができます。スウェーデン王立科学アカデミー名誉教授アーリング・ノルビーの基調講演では、この点を強調しています。